聾学校 ~ そこは静かで陰鬱な場所を想像していた。
が、想像とは全く異なり、ハンディキャップを感じるさせることなく、キラキラとした、とてもにぎやかな空間だった。
今回訪れたのは、聾学校で活動している言語聴覚士の隊員の方。私と同じく首都カンパラで家も近所ということもあり、非常に親しくしていただき、せっかくの機会なので訪れてみることにした。
まったく門外漢なので、まずは言語聴覚士ってなんでしょう?というところから。何回か説明してもらったのだが、あまりの畑違いでいまいち理解ができていないので、もう一度おさらい。
<定義>(
Wikipediaより)
言語聴覚士法に基づき、言語聴覚療法(音声機能、言語機能、摂食・嚥下機能、又は聴覚に障害のある者に対し、その機能の維持向上を図ることと言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助)を行うコ・メディカルの一つで、教育機関、保健福祉機関、医療機関で幅広く活動している名称独占資格である。 国家資格としての歴史は比較的新しく、資格化以前は「言語療法士」、「言語治療士」等の呼称が用いられていた。
うーん、難しい。。ものすごくシンプルにまとめると”聴覚障害がある方に対するケア”ということでいいのかな?
聾学校は言語聴覚士のごく一部の活動範囲らしいのだが、私が見させていただいたのは”聴覚障害がある聾学校の子供たちに言語の発声の仕方を教える”というものだった。
←が今回訪れた聾学校の校舎。子供たちは非常に明るく、外部訪問者の我々の姿を見つけるとキャーキャー騒いで近寄ってくる。
とくにカメラが大好きで、撮って撮ってときりがない。
だんだんエスカレートし、しまいにはカメラの前でいかにアホな顔が出来るかを競い始める(笑)
←が教室の風景。この日はSign Language(手話)を使った劇の練習をしていた。みんなSing Languageに顔の表情、表現豊かである。
子供たちはSign Languageを使って積極的に話しかけてくるが、いかんせん私はほとんど理解ができず、身振り手振りでなんとなくコミュニケーションするのが精一杯。
ここを訪れた訪問者は子供たちからSign Name(手話での名前)をつけてもらえる。早速にわかに覚えた手話で、私がつけてもらった名前を披露。
=私の
=名前は
=XXです
(←がつけてもらった名前。どうやら鼻から両サイドに伸びる線が私の顔の特徴らしい。。)
何人かの生徒を教室の外に集めて、言語聴覚士の方の発声指導が始まった。耳が聞こえない子供たちのために発声方法を指導するとはどんなものであろうか?
あまり難しく教えても意味がないので、まずは飛んだり跳ねたり楽しみながら体を動かすことから始めて、みんなで口を大きくあけて喉元を意識させながら”アー”とか"ウー"とか”オー”とか見よう見まねで母音の基本的な発声の方法を体にすり込んでいく。
母音の次は子音。子音は"パ"、"バ"、"マ"などの唇の使い方や"タ"、"ラ"などの舌の使い方を耳が聞こえない子達に教える大変な作業だ。←な感じの上顎の模型を使いながら舌の使い方を分かりやすく説明していた。
他の隊員の任地でもそうだったが、相手に楽しみながら何かを取り組ませるには、まず自分が楽しんでやることが第一のようだ。この方も自然に(好き勝手に?)自分が楽しみながら、生徒と楽しく発声指導をしていた。
最後にみんなでポーズ。
日本でも聾学校って訪れたことがなく、短い時間であったが非常に貴重な経験となった。この日印象に残ったのは、耳が聞こえないという大きなハンディキャップを持った子達がどういう顔して生活しているのだろうか?という心配を払拭するほど、キラキラした子供の笑顔であった。
また、言語聴覚士とは、生身の人間相手の真剣勝負の大変な仕事ということも充分感じることができた。
この日も普段自分が全く関わることのない職業の人達との交流という、青年海外協力隊の醍醐味の一つを存分に味わった一日だった。