自分の活動と日々の生活だけではなく、他のJICA隊員の活動を通じて、ウガンダの現状を少しでも広く見ようと思っている。ちょうど一月ほど前(3月半ば)に、同期の獣医の短期隊員の任地を訪ねた時のことについて。
彼は、首都カンパラより250kmほど西に離れたKifufura県(←)のKazoなる、JICA職員もウガンダ人もあまり知らない地域に一人入って孤軍奮闘している。同期で3名獣医隊員がいたのだが、一番過酷そうな任地を選んで訪問することにした。丁度彼がカンパラに上がってきていたので、朝から一緒に任地に向かうことに。
カンパラからウガンダの各方面には、長距離マタツで数時間から時には半日以上かけて移動することができる。長距離マタツは、カンパラの中心部のOld Taxi Park(主にカンパラから東方面に向かうマタツが集まるPark)とNew Taxi Part(主に西方面に向かうマタツが集まるPart)の2箇所から乗ることができる。
←が反対側の東方面に向かうOld Taxi Park。百台以上はあるかと思われるマタツがぎっしり集まる。今回西に向かうNew Taxi Parkもこれと同じくらいの規模。
こんなたくさんの中からどうやって行き先のマタツを見つけるかと思ったが、目的地別に←な感じの看板が立てられており、案外わかりやすく見つけることができる。
Taxiは横と横がこすれあうほどぎっしり密集している(←)ので、目的のTaxiに乗ったはいいものの、Taxi Parkから出るのに人とTaxiをかき分けて進むのに精一杯である。ただ、運転手もこの密集地帯に慣れているせいか、器用に運転し、20分くらいでTaxi Parkを抜け出すことができた。
Kampalaを離れてまずは、西に120Kmほど離れたMasakaという町へ。Kampalaを抜けてもすぐはまだまだ道沿いに町並みが続く(←)。
KampalaからMasakaまでの道路は非常によく整備されており、渋滞もなくすいすい進む。しばらくこんな感じ(←)の丘陵のup downの道がつづく。
Masakaを過ぎるとだんだんのどかになってきて、道の質もだいぶ悪くなってくる(←)。
この日は日曜日だったためか、Kiruhuraまでの直通のマタツがなく、4時間たってようやくたどりついた途中のLyantondeという町(←)で下ろされることに。。
ここで食事休憩し、Refreshしたところで、さあ残りあと70-80kmの道のり。目的地までのマタツを探そうとすると、どうやらこの今にも崩壊しそうなぼろい乗用車が(←)次の目的地までの足だそうだ。しかも、このコロナクラスの小さいセダンに、ぐいぐいと前3人、後ろ4人の計7人もつめこまれて出発。
Lyantondeを過ぎると一気に道が悪くなり、舗装されていないじゃりじゃりの道(←)を7人詰め込まれたぼろいセダンでガタガタと進む。
さらに、しばらく進むと道端にTaxiに乗りたそうな人が。まあ、ただでさえ定員オーバーなので、当然通過でしょ!と思いきや、なにやら停車してどこまでいくか話している。ホントに乗るの?トランク?などと見ていると、運転手が突然降り、運転席に一人の乗客を座らせ、その乗客を尻に敷きながらさらに運転席に!
写真(←)はわかりづらいが、左の座席に男と女(男の腕で隠れて見えない)、右の運転席に男二人(一番右が運転手で、右横からカラダを斜めにクネらせて危なっかしく運転している)の前4人、さらに子供が一人加わって後ろ5人の計9人のすし詰め状態に!
(あとからウガンダ人に聞いたら、この日は休日で警察のチェックが休みのため、こんなことになったのだそうだ。そのウガンダ人もこの話には笑っていたが・・・。)
定員オーバーどころではない状態でガタガタと進みながら、目的にのKazoに日が沈む前になんとかたどり着いた。11:30にカンパラを出て1時間の休憩を含め18:00着、6時間半の行程にさすがにぐったりである。
(※ちなみに帰りは、朝5:30発のカンパラ行きの直通マタツで、オフロードMax:90km、オンロードMax:140kmでぶっとばし、5時間弱であっというまにカンパラに。。)
←が、同期の獣医隊員が活動しているOffice(Veternary Center)兼住居である。Kazoという電気も水道もない小さな町(村?)の中心から少しはなれた丘の上にぽつんとたち、さながら”Dr. コトー診療所”のようである。
←が宿泊部屋。なかなか渋い感じです。電気・ガス・水道のインフラが一切ないこの地では、電気はソーラー発電(もちろんJICAが支援しているような施設のみ)、水は雨水タンク、トイレは汲取り式、火は炭火である。世間的にはすでにおじさんの部類にはいってきた私は一泊二泊はなんとかなるが、まるまる2ヶ月ここで過ごした彼のガッツはには頭が下がるばかりである(2年も村に入っている村落開発隊員はいわずもがな・・・)。
さて、次の日はいよいよ一日獣医体験である。
さてこれは(↓)なんでしょう?ごみ袋?洗濯物?クリスマスプレゼント?
正解は、日本から送った船便でした。
ウガンダにくる直前に
航空便一箱とあわせてもう一箱は船便で送っておいた荷物が、2ヶ月たってようやく届いたとのことで、早速JICAの事務所に。でも送った荷物のダンボールを探してもなかなかみつからない。。
ふと、部屋の隅っこにおいてある小汚い土嚢袋に目をやってみると、なぜかそこに自分の名前が??おそるおそる中身を空けてみると、ぐちゃぐちゃに大破したダンボールと見覚えのある本がなんともごちゃ混ぜにはいっているではないか!
←が大破したダンボールとボロボロになりながらも無事たどり着いた本の数々。まわりにいた隊員曰く、こんなことは”ざら”だそうだ。ようやく本が手元に届いたのはうれしいが、がんばってゆっくり読む時間を確保しないとね。。
最後に、2ヶ月の活動のまとめと今後の活動方針。
ウガンダに来てはじめの立ち上がり期間は非常に順調にStartできていたのだが、3月に入ってからというものMBA Applicationに大きく足を引きずられ(そして3月末からは大火事。。MBAのWaitからの繰り上がり争奪戦はあまり明確な期間・ルールがなく、終わりなきゲリラ戦状態が続く・・・。)、当初想定していたような、
ゆっくり深く考えながらの活動ができていない。
このBlogも、自分のようなビジネスバックグラウンドを持つ人間が国際協力の世界でどのように貢献できるか?といった領域までは達せず、いまのところ”ウガンダ旅行記”もしくは”ウガンダサラリーマン体験記”程度に留まっている。
派遣先での活動も、要請書通りの内容を最低限こなすに程度留まり、枠を超えて大きなImpactをもたらす、とまでは全くたどり着いていない。2-3月は忙しい中かろうじて他の隊員の任地を訪問することに時間を割いていたが、4月は自粛して派遣先の活動に専念したい。また、WLを冷静に考え、取捨選択の上、非常に残念ながら、これまでなんとかこなしていた
Sustainability StudyはDrop outすることにした(涙)。
MBAのWait繰り上がりActionはもちろんながら全力を注いでいくつもりだが、加えて当初想定していた以下の活動もしっかりやっていこうと思う。
<今後の活動方針>
[派遣先での活動]
・現在実施しているカウンターパートとの活動を、配属先全体の組織に展開する。
・ひょんなことからお誘いいだたいだ、JICAが力を入れて支援しているウガンダNo1の職業訓練校
Nakawa Vocational Training Instituteでのプロジェクトをお手伝いする。
[ご近所づきあい]
・同じ敷地内に4~5軒の家があるのだが、今のところ時間的・精神的余裕がなく挨拶程度の関係しか築けていない。ウガンダの文化を深く理解するためにも、今後は食事・パーティーにお呼ばれするくらい深く入り込んでいきたい。
[任地訪問・NPO/NGOとのNW作り]
・4月は自粛し活動に専念し、5月からまた任地訪問を再開していきたい。特に興味がある、村落開発、HIV/AIDS対策、自然保護・環境教育で活動されている隊員の任地を訪問したいと思っている。また、時間がなくて全くできていないが、JICA以外のNPO/NGOとの交流もはかっていきたい。
[書籍・DVD]
・Social Impact系の本を中心に、ダンボールでどっさり空輸・船送してきたが、時間がなくて全く読めていない。なんとか時間を捻出して、ゆっくり本を読んで、体験だけでなく知識面の充足もはかっていきたい。
・見よう見ようと思っていながら見そびれていた、ウガンダ/アフリカ関連のDVDもぜひ時間をつくって見るようにしたい(道端で海賊版がとんでもない価格で売ってたりもするので。。)。
・
ダーウィンの悪夢
Victoria湖に放流した巨大魚ナイルパーチが引き起こした生態系の破壊から始まり、周辺のアフリカ社会が直面する社会問題を描いたドキュメンタリー映画
・
ホテルルワンダ
ウガンダではないが、お隣ルワンダで十数年前に起きた大虐殺の中で1200人もの命を救ったホテルマンの行動を描いた有名な映画
・
ラストキング・オブ・スコットランド
ウガンダの悪名高き独裁者
アミン元大統領の半生を描いた映画
・
おいしいコーヒーの真実
コーヒー産業の実情を通じて世界の社会問題を描いたドキュメンタリー映画
・
いまここにある風景
急速に経済発展を遂げる中国の産業の現場をひたすら映像にとりつづけたドキュメンタリー映画。ウガンダ/Africaとは全く関係ないが、中国社会の現状に非常に興味があるので買って持ってきたが、これまた見る時間がとれてない。。
方針というよりも、ほぼ願望に近いが、残りの3ヶ月を大切に使って行きたい。
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by macky_2009
| 2009-04-08 05:52
| 考え事
次は2ヶ月過ごしてきて感じたウガンダの印象について。
<首都カンパラの印象>
①近代都市とLocal文化の混在
首都カンパラでは大きなショッピングモールもあり、物資はなんでも手に入る。携帯電話もかなり普及しており、インターネットカフェもそこらじゅうにある。車も(Mercedeceも)バンバン走ってる。お金さえ出せば先進国と同じような快適な生活ができる。ただ、インターネットの回線だけはお金出しても太くはならないかな。
←はKampala No1のショッピングモール
Garden City。大型スーパーに加え、家電ショップ、アパレル、レストラン、本屋、シネコン、スポーツジム、カジノまでなんでもそろう。ここに来れるのは外国人とごく一部の金持ちウガンダ人だけだ。
←はGarden City内部のスーパーマーケット
Uchumi。食料品から生活雑貨まで何でもそろう。ケニア系の会社らしい。
←は職場の近くにあるもう一つのショッピングモールLugogo MallにあるGame。カルフールみたいな感じ。こっちは南アフリカ系の会社だったと思う。
←家電から大型液晶テレビまでお金を出せばなんでも手に入る(値段は日本と同じかやや高いくらい)。外国人はわかるが、ウガンダ人がどういうしくみでこのお金を捻出するかはまだわかっていない。
一方で、ローカルマーケットではいかにもアフリカらしいカオスな風景が広がっている。
←はカンパラ中心部のNakasero market。ウガンダの庶民がいく首都の中心部のマーケットといったところか。
←露天でもなんでもかんでも物を売っている。
←はその隣のカンパラ最大のローカルマーケット、Owino Market。かなりディープゾーンで、上野のアメ横みたいな感じ。先進国で捨てられてしまったような、服・靴がたくさん売買されている。
←近所のマーケットの風景。鳥もこんな感じでいきたまま取引され、その場で絞めて食卓へ。。。
②非常に劣悪な都市環境
カンパラは環境が極度に悪い。空気は車の排ガス、ごみの野焼きで極度に汚く、歩くだけで顔が真っ黒+喉がやられる。←は車の排ガス。
ウガンダ人はごみ捨てのマナーが非常に悪く、そこらへんにポイポイごみを投げ捨てる。従って町中ごみだらけ。←はマーケット付近のごみ集積場。
←は溝に捨てられたペットボトルの山。
<ウガンダ全土の印象>
・水と緑がに恵まれた豊かな国土
まだカンパラ以外は数箇所しか回ったことがないが、どこにいっても緑が多いのが印象的だ(←)。さすが、アフリカの真珠(Pearls of Africa)、ウガンダである。空気もカンパラは悪いが、地方にいけば非常にきれいで、夜には日本でみたことないくらいの星空が広がる。
・整備されている主要都市間の道路
カンパラから東西南北主要都市への道路は非常によく整備されている(←)。マタツに乗れば100kmくらいのスピード(時には140km)で数時間もあればウガンダ各地に移動できる。
・水道・電気の普及率
どれくらいの普及率かわからないが、地域によってはまだまだ水道も電力も届いていないところが多い。水は雨水か井戸、電気の変わりにロウソク、ガスは全く不要で炭火といった生活だ。電力が来ているところでも停電は頻繁で、まだあまり電気が必須の生活とまではいってなさそうだ。
<ウガンダ人の印象>
・明るく性格はいいがのんびり?
ウガンダ人はいいやつが多い。歌と踊りが大好きで、陽気で気さくに話しかけてくる。また、たまにぼったくろうとしてくるやつもいるが、悪いやつはあまりいない。この間は道に落としたお金を気づかず歩いていたところ、わざわざ拾って走ってもってきてくれた。
明るく性格のいいウガンダ人だが、仕事・時間に関しては非常にのんびりだ。あくせく働いてそうなウガンダ人はみたことがない。レストランにいっても、注文して会計を済ませるまで、どんなに早くても1時間弱かかってしまう。カウンターパートとのミーティングもなかなか時間通りには始まらない。ましてや1対1のミーティングの際にも、豪快に居眠りしてしまうときもある。あくせく働かない原因の一つとして、四季がなく、水と緑に囲まれて、これまで食べ物に困ることがなかったことが影響しているように思われる。(自分の中で比較対照をもちあわせていないのだが、ある隊員の話だと、多少なりとも四季のあるジンバブエでは、ここまでのんびりはしていないようで、教育水準も高いそうだ。ただし今は政治が問題でとんでもないことになっているだが。。)ウガンダは農村地域にいけば、バナナとマンゴー、アボガドなどフルーツがごろごろころがっている。それを食って寝てりゃいいのだ。
逆にウガンダで成功しているビジネスマンは中国人とインド人が多いようで、ウガンダ人がこれからどんな産業で飯をくっていけるかは、民族性・適性をよくよく考える必要がありそうだ。
<その他>
・どういう支援が必要か?
アフリカというと、飢餓、水不足、紛争・内戦、難民、疫病、政治腐敗といったステレオタイプなイメージがどうしてもあるが、どうやら国ごとに全く違う環境におかれているらしい。少なくともここウガンダでは、豊富な水と緑に囲まれ食料に困ることは全くなく、餓死した話など聞いたことがない。そして、最近は政治も安定し、紛争・内戦もない。
ただ、一方で医療水準が依然高くなく、HIV・マラリアをはじめとした病気に悩まされていることや、教育普及率が未だ100%に到達するには程遠いこと、カンパラ中心部を歩いていると足の悪い人やまだ物心ついてない子供まで、物乞いをしている人がごろごろいたりする。この間は雨の中でずぶぬれになりながら、ぼろぼろの男がしげみで犬の死骸に手を加えている(自分の目に間違いなければそのまま食べようとしていたに違いない・・・)目をそらしたくなるような光景を見てしまった。
こういう国にどういう支援が必要なのか?といった大きな問いに答えを出すのはまだまだ現状を広くwatchする必要がありそうだ。
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by macky_2009
| 2009-04-04 20:25
| 考え事
早いもので、こっちに来てまる2ヶ月が経過した。日本では新年度を向かえ桜のシーズン真っ盛りなようだが、こちらはようやく雨季になったのか、雨が多くなり涼しくなってきた。
2ヶ月が経過したところで、これまでの体験の中間総括をつれづれなるままに。
前提知識"0"で来た為、1人あたりのGDPが日本の数十分の1のウガンダでどんな世界が広がっているのか全く想像がつかなかったが、首都カンパラで過ごす限りはそれほど大きなカルチャーショックはなかった(逆にそれが驚きであった)。食事や交通手段など適応するのに2週間ほどかかったが、慣れてしまうのもあっという間で、その後は非常に快適である。
大きなカルチャーショックはなかったとはいえ、細かな失敗を日々繰り返しながら少しづつ適応していったところだ。
例えば・・・、
・引越しをしたらまだ工事中だった、そして温水シャワーなどリクエストしつづけ、ようやく2週間後に工事完了・・・
・朝のマタツで全然違う方向まで連れて行かれ、たった8kmの通勤に2時間かかる
・朝の渋滞でマタツに乗れずにスーツで2km以上歩かされる×数回
・スーツでこける×2、暗闇で深い水溜りにはまる×1(+未遂多数)、車がぬかるみで飛ばした泥を思いっきりかぶる×1
←が水溜り。縦3m×横1.5m×深さ2-30cm程度。坂の上の絶妙な位置にあり、夜は坂を上ってくる車のライトが逆光となり見えなくなる。1度はまってわかっているのに何度となくはまりそうになったことか!
・カフェでトイレにいったら前の人が残した日本では見たこともない色をしたウン○が!
・レストランで注文したのに30分以上たってもまるでこない×たくさん
・原因不明の腹痛におそわれ一日中ダウン×1
(最近はすっかりウガメシに慣れ、逆にたまに外国料理を食べると胃がびっくりして調子が悪くなる逆症状である。。)
・夜中に電気つけっぱなしで窓開けて寝てたら、女王蟻?と羽蟻の大群が入ってきて部屋を占拠さAれそうになる×2
・ホチキスを買ったが5枚以上の紙を綴じようとするとボッキリ
(物のqualityは非常にpoorである、というか日本が高すぎか?)
・新居のトイレの便座に座ったとたんバッキリ、そしていまや粉々↓
・停電はしばしば、そして今日初の断水
と、まあこんなかわいいところだが、細かい失敗はつきものだ。先進国なみにきつきつのスケジュールで過ごしてはいけなく、ゆとりをもって気長~に過ごすことが重要だ。
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by macky_2009
| 2009-04-03 05:24
| 考え事